JEANS

フラットヘッドのモノづくりに対する想いが全て凝縮されていると言っても過言ではない「ジーンズ」。

コンセプトである「新品の状態で5割、着て頂いて7割、着込む事で完成する」という言葉がもっとも当てはまるアイテムではないでしょうか。

リベットの径の大きさ、独自の染色、ボタンホールのアトメス、ベルトループの膨らみ、太番手縫製のバックヨークなど…
見た目には大きな差としてわからない部分ですが、着用して数年後に差が出る部分にこだわり、そして、先駆けて取り組んで参りました。

色落ち

ジーンズの色落ちは通称「タテ落ち」とも呼ばれています。
タテ落ちとは、ジーンズの表面に縦方向の白い線の様な色落ちが現れる事を言います。

フラットヘッドでは、色を残しながら色をハッキリ落とす染色を作り上げました。
糸表面に付着するインディゴを通常よりも濃くし、なおかつ、糸の芯の染まらない部分(芯白)をしっかり残すことで、生地の擦れやすい部分は白く色落ちし、擦れにくい部分には濃く色が残る事でメリハリのある色落ちを実現させました。
フラットヘッドでは白い線がはっきりとした強いタテ落ちが現れます。

写真はフロント部分に現れる通称「ヒゲと」呼ばれる色落ちで、この部分のメリハリ感もフラットヘッドの特徴です。

膝裏に現れる通称「ハチノス」と呼ばれる色落ち。
シワの凹凸でメリハリのある色落ちが現れています。

バックポケット

一目でブランドが判別できるジーンズのバックポケット部。
フラットヘッドのジーンズには、バックポケットにウルトラスウェードの飾りを縫い付けています。
ウルトラスウェードは超極細繊維であるマイクロファイバーで形成された人工皮革で、水や摩擦に強く色も抜けにくい特徴があります。
※写真は新品の状態です。

1年半ほど穿き込んだジーンズのバックポケット部。
ウルトラスウェードの部分はしっかりと色が残っているのに対して、デニム生地は色落ちし、新品の状態と逆転しているような感じになります。

2重ステッチ

バックポケットの強度を保つため、2重の縫製で仕上げています。
1周目は綿とポリエステルの混紡糸である強度の高いコアスパン糸で縫製し強度と色落ちを両立させ、2週目は従来と同じ綿糸を使い重ね縫いしています。
1周目だけでも十分な強度を保つことが出来ますが、綿糸で重ね縫いする事で穿き込んだ際に綿糸が縮み、パッカリング(※)による生地の凹凸が生まれ、色落ちのメリハリも現れます。
※縫製糸が縮むことで現れる生地の凹凸

1年半ほど穿き込んだバックポケット2重ステッチ部。
最も解れやすい部分の一つであるバックポケットの角が解れていません。
生地の色落ちと共に2色の縫製糸も程よく色落ちし雰囲気を増しています。

ベルトループ

新品の状態のベルトループ。真ん中がぷっくりと膨らんでいるのが分かります。
真ん中を膨らませる事が長年穿き続ける上で非常に大切な事なのです。

ベルトループは帯状の生地を巻いて、2本のステッチで縫い付けて作ります。
この2本のステッチが擦れやすく切れ易かったとしたら、ベルトループの巻きはバラけて帯状の生地に戻ってしまい、帯状に戻ってしまうとベルトループの生地はすぐに破れてしまいます。
そうならない様に膨らみを持たせているのですが、実はこの膨らみは1950年代頃までのヴィンテージジーンズに見られる特徴でもあります。

化学繊維の縫製糸が出来る以前、綿糸による縫製が主流だった時代のジーンズ。
その当時はファッションとしてではなく、ワークウェアとしての着用されていたため強度を考えた縫製が各所に見られます。

穿き込んだジーンズのベルトループ。
穿き込む事でベルトループの色も落ちていますが、注目して頂きたいのは色の落ち方。
ジーンズの色落ちは洗って水で落ちている様に感じますが、実は着用時に生地が擦れる事による色落ちがほとんどです。

このベルトループの色落ちは、両端と真ん中が白くなっており、黄色い2本のステッチの周りはインディゴの青が残っています。
真ん中の膨らみと、両端が擦れる事でこの様な色落ちが現れるのですが、これは真ん中の膨らみがある事により黄色いステッチ部分が沈み込み、擦れにくくなっているという証でもあります。

ベルトループ専用ミシン

フラットヘッドのベルトループは1920年代のUNION SPECIAL社製の2本針二重環縫いミシンで縫い上げます。

見た目だけであれば最新のミシンでも縫う事は出来ます。しかし、膨らんでいれば良い訳ではありません。
ベルトループ生地を巻き込むための真鍮製のラッパと呼ばれるパーツは、最適な巻きと膨らみ具合を作るために職人が手曲げで幾つも試作品を作成し、理想とする形状を完成させました。1920年代のミシンは綿糸だけを用いていた時代の物なので、綿糸による微妙な糸調子を出すことが出来ます。
この微妙な糸調子により、新品(未洗い)の状態のベルトループは縫製糸が沈みきっていません。
ジーンズを洗い、生地が縮み、縫製糸が縮むことで初めて求めていた「糸の締りと中央の膨らみ」が現れます。
これを実現するためにはヴィンテージミシンの存在が不可欠なのです。

ボタンホール

新品の状態のボタンホール。新品なのに穴のふちは毛羽で覆われています。
フラットヘッドでは、この毛羽をあえて出るようにしています。

フラットヘッドのジーンズはボタン素材に鉄を使用していますが、ボタンの開閉を繰り返すうちに長年の着用でボタンホールの縁を縫う「かがり糸」は確実に摩耗していきます。
かがり糸が摩耗し、擦り切れてしまうと穴の縁はデニム生地の切断面が剥き出しになり裂けてしまいます。

そこで重要なのがこの毛羽になります。

ボタンホールはボタンを留めるために生地をカットして穴を開けます。
穴を開けただけだとそこから破れてしまうため、穴の縁を糸で綺麗にかがり、破けない様にします。

フラットヘッドのジーンズはその順番が逆で、穴の開いていない状態の生地にボタンホールの形をしたかがり縫いを入れます。
かがり縫いをした後に真ん中に穴を開けます。

縫った後に生地をカットするため「後メス」と呼ばれる技法です。(メス=刃物)

「後メス」の場合、かがり縫いの内側に生地の裁断面が剥き出しになり、生地の毛羽が残ります。
この生地の毛羽は、ボタンの開閉の際にボタンとの摩擦から、かがり糸を守る役割を果たし長年の着用でも、ボタンとの擦れによるかがり糸の糸切れを防いでくれます。

画像のミシンはフラットヘッドが所有するドイツのデュルコップ社製、1960年代のボタンホール専用の後メス式ミシンです。
ここまで状態の良い物はなかなか残っていません。

1年半ほど穿き込んだジーンズのボタンホールです。
ボタンとの擦れで毛羽は少なくなっていますが、かがり糸は守られてしっかりと残っているのが分かります。

鉄ボタン

ジーンズのフロント部分に使用する金属製のボタン。
フラットヘッドのジーンズでは鉄製ボタンを使用しています。

鉄以外の素材でも素晴らしいボタンはたくさんあります。
一般的によく目にする金属ボタンは鉄以外の素材が使われていることが多いパーツですが、フラットヘッドでは「経年変化」や「雰囲気」にこだわり、オリジナルの鉄製ボタン作成しました。

鉄は経年変化の現れる素材。色落ちして経年変化の表れるジーンズの生地と共に鉄製ボタンにも経年変化が起こります。
鉄の変化というと錆びを連想される方もいるかもしれませんが、ボタンに使用する鉄は衣料品での使用を考え、防錆を施しているため簡単に錆びるようなことはありません。
穿き込む事により「光沢感」と「黒み」を増して美しく重厚な雰囲気へと変化していきます。

フラットヘッドではボタンの裏側の「タック」と呼ばれるパーツも鉄製にしています。

表のボタンと裏のタックが生地を挟み1つになる事で、はじめてボタンとして成立するパーツ。
素材を統一する事で、ボタン自体の強度も損なわず、見えない裏側まで雰囲気の良い仕上がりとなります。

径の大きなオリジナル銅リベット

ジーンズならではの金属パーツ「リベット」。
リベットには「鋲」と言う意味があり、金属などを接合するパーツにも同様の名称が使われています。
ジーンズは金属ではありませんが、元々ワークウェアとして誕生した歴史があり、強度のあるデニム生地と縫製、それを補うためにリベットが用いられていました。
縫製した部分を更にリベットで挟み込む事により、負担の掛かるポケット口を破れにくくするために考え出されたパーツです。

写真は2本のジーンズのリベットを比較したもので、手前は現在使用しているフラットヘッドのオリジナルリベット、奥に見えるのはフラットヘッドが初期のジーンズに使用していたリベットです。
少しわかりにくいかもしれませんが、現在使用しているリベットは径が大きく中央の芯の部分も太くしっかりとしています。

フラットヘッドのジーンズでは主に14.5ozという厚みのデニム生地を使用しています。
「ヴィンテージ」と呼ばれているジーンズに使われていた生地よりも厚くコシが強いのが特徴です。
その厚みのある生地をしっかりと挟み込み強度を持たせるために、現在のサイズと形状のリベットを完成させました。

1年ほど穿き込んだジーンズのリベット。リベット付近の糸や生地もダメージが無くしっかりと守られているのがわかります。
銅が酸化して経年変化の雰囲気を増しています。

リベットの裏側。
リベットは2つのパーツに分かれており、表と裏で生地をしっかりと挟み込んでいます。
奥は新品の状態、手前は穿き込んだ物です。
表と同様、銅が酸化して経年変化の雰囲気が出ています。

鉄製隠しリベット

バックポケットの強度を高めるために使用される隠しリベット。
ポケットの生地に隠れているため表側からは見えませんが、裏側からはリベットが付いている事を確認できます。

また、一見すると銅製に見えますが、表面に銅メッキを施した鉄製。
強度が高く取れにくい隠しリベットとなり、経年変化も独特のものとなります。

フラットヘッドでは更に高い強度を求め、リベットの脇ギリギリを縫製している事も特徴です。

1年ほど穿き込んだジーンズの隠しリベット。
酸化する事で表面の銅メッキも変化していますが、銅の下に隠れる鉄が影響する事で黒みのある重厚な経年変化が現れます。
また、一般的な隠しリベットよりも厚く丸みのある形状のため、両サイドの縫製糸がリベットの膨らみに守られ、糸切れがしにくい事も特長です。

パッチ

ベルトループの隣に付くパッチもジーンズならではのパーツ。ブランド名や品番、ウエストのサイズなどが表記されます。

フラットヘッドのジーンズに使用する革パッチは、洗濯乾燥による革の収縮を抑えるために防縮加工を施しています。
写真は牛革を使用した革パッチで、まだ経年変化は緩やかですが、長年の着用で革の風合いも変化していきます。

山羊(ヤギ)の革を使用した通称ゴートパッチ。
しなやかな素材で経年変化により現れる特有のシボ感が特徴的です。

PAGE TOP