着倒してこそ、着こなせる。

フラットヘッドのレザーアイテムを語る上で外せない素材である馬革。
ライダースジャケットに使用する馬革は、世界でも2社しかない原皮の状態から仕上げまでを一貫して出来る鞣し工場に依頼しています。
厚いと表面が割れやすい馬革ですが、独自の鞣しによって割れづらい馬革に仕上げています。
そして、何と言っても着込むほどに風合いを増していくのが馬革の魅力です。
 

今回はそんな馬革を使用したライダースジャケットについてお話ししたいと思います。
 

当初は茶芯と呼んでいなかった…


最近は良く耳にするようになった「茶芯」という言葉。
フラットヘッドがリリースするライダースジャケットは、いわゆる茶芯の馬革を用いて20年近く前から作り続けていました。

茶芯とは何か?

下地を茶色に染めてから表面を黒く染める事により、長年の着用で表面が擦れて下地の茶色が現れてくる革がその様に呼ばれています。
その様にする目的は、着込んだ際の風合いです。
フラットヘッドがモチーフとする1950年代頃までのヴィンテージのレザージャケットには馬革を使用している物が多くありました。
その馬革は経年変化により、表面が擦れ下地の茶色が現れている物もありました。
元々は、その革の風合いを表現するためフラットヘッドでも茶色に染めた上を黒く染めると言う技法で作っていましたが、当時はこの様な染色方法を用いてレザージャケットを制作するメーカーは稀でした。

今から10数年ほど前でしょうか、某雑誌の取材依頼で「フラットヘッドさんの茶芯のレザージャケットを紹介したいのですが」という問い合わせを頂いた際、当社の担当者は「茶芯」という言葉を初めて耳にしました。
「うちのレザージャケットは擦れたところが茶色くなっていきますが、それが茶芯ですか?」と聞き直してしまったそうです。(笑)
「フラットヘッドさんは茶芯が流行る前から、ずっと茶芯でしたもんね(笑)」
その時の編集者さんの言葉です。

ちなみに、ここでご紹介しているライダースジャケットSRJ-07Cというモデルでは加脂という工程を行っております。
加脂とは革をオイルに浸けて革に油分を加える事で、フラットヘッドでは独自に開発した専用オイルに浸けて、しっとりとした質感と重厚感を与えています。
なお、オイル自体に匂いは無いため、着用時の油臭さやベタつきはありませんのでご安心ください。
 

皮から革へ、独自の鞣しで革を作る


天然素材である馬革は、鞣し(なめし)を経て皮から革へと変化します。
原皮のままでは腐敗したり硬化してしまうため、原皮のコラーゲン繊維に鞣し剤を結合させることで製品としての革へと変化させるのが鞣しです。
遥か昔から、人は衣料や生活用品として革を使い、様々な種類の鞣し方を編み出してきました、現代では大きく分けてクロム鞣しとタンニン鞣しという2種類が主流となっています。
 


フラットヘッドでは、植物由来の鞣し剤を使用する植物タンニン鞣しによる馬革を用いています。
ピットタンニン槽と呼ばれる鞣し剤の入った槽の中に長期間浸け込む事で、鞣された馬革はしっかりとしたコシ感を持ちながらしなやかさのある革に仕上がります。
製品となった革は、着込んだ際の経年変化による風合いが出やすいのも植物タンニン鞣しの特徴です。
 

革を彩るブラウンステッチ


フラットヘッドのライダースジャケットでは縫製に茶色の糸を使用しています。
黒い革には黒い糸での縫製が使われることが多いと思いますが、あえて茶色の糸にしています。
黒い革に茶色の糸がアクセントになり、雰囲気を高めています。
表面が擦れる事で、下地の茶色の革が現れてくるとブラウンステッチは更に馴染み雰囲気は更に高まっていきます。
また、縫製する部分によって強度と見た目の印象を考え、糸の太さや色合いに変化を付けているのも拘りの一つです。
この縫製糸にはコットンとポリエステルの混紡によるコアスパン糸を使用しています。
ポリエステルの強度とコットンの風合いを併せ持ち、革を傷めず糸切れもし難く見た目もコットンに近い雰囲気の良い縫製糸です。
 

さり気なくパイピング


背中のヨーク部分には約2mmのレザーパイピングを施しております。
パイピングの効果により、ヨークの縁に厚みが生まれ立体感のある雰囲気を与えています。
縫製の困難な馬革でミリ単位のパーツを取り入れるのは高度な縫製技術が必要とされます。
 

潔いシンプルさ


スリーブにはジッパーを付けず、カフスのみによるシンプルなデザインに仕上げています。
着用時に袖口のジッパーが邪魔にならないように考えたデザインですが、このシンプルなデザインがクラシカルな雰囲気を生み出しています。
ライダースジャケットの定番的なディテールである袖口のジッパー、それを思い切って省略する。
潔いシンプルさです。
 

UNIVERSAL ZIPPER


ジッパーは全てUNIVERSAL ZIPPERを使用しています。
強度、使いやすさ、素材感のバランスが良く、真鍮色と革の相性もピッタリです。
使い込むほどに程よく色がくすみ、革の経年変化と共に味のある雰囲気となります。
引手には本体と同様の馬革を取り付けており、グローブをしたままでも開閉がしやすいと共に、デザインのアクセントになっています。
 


左胸のポケットには菱形のチェーンジッパーを使用しています。
 


両側に付くポケットのジッパー。
ポケット口は両玉縁で仕上げており、ジッパーの開閉を繰り返すことで革の表面が擦れ、茶芯が現れる事で非常に良い雰囲気となっていきます。
ポケット部分だけは、ブラウンステッチの外周を黒いステッチで取り囲む、2色使いの縫製になっています。
 

真鍮色の鉄製バックル


裾部分の両サイドには、バックルを装着しており裾幅を若干絞ることが出来ます。
見た目は真鍮ですが、実は鉄製で表面に真鍮色の塗装を施しています。
擦れる事で塗装が削れると鉄部分が見えてくるのも魅力です。
1950年代頃までのヴィンテージライダースジャケットは、馬革と共に鉄製のパーツが使われている物が多く、その雰囲気を細部まで表現したいと言う拘りから鉄製バックルもオリジナルで制作しています。
 

裏地もオリジナル


フラットヘッドが得意とする素材であるレーヨン。
裏地にはレーヨンカルゼという綾織りのオリジナル裏地を用いています。
スカジャンなどに使用する超長繊維のレーヨンを綾織りにすることで、裏地に必要とされる強度と共に滑りの良さがあり、レーヨン特有の発色と美しい光沢も持ち合わせています。
また、右身頃にはレザーの両玉縁を施した内ポケットを装着しており、スマートフォンやグローブなどを入れるのにも便利です。手首まですっぽり入る大きさで使い勝手の良さを考えたサイズです。
 
 

重厚でコシ感が魅力の馬革。
着続ける事で革は馴染み、着用者の体に合ったシワが生まれます。
自分の体に馴染んだライダースジャケットは、まるでオーダーメイドのように着やすく手放せない1着になるはずです。
濡れた際は水分を拭き取る、油分が足りないかな?と感じたらオイルを塗るなど、愛情を持ってさえいれば、着倒すぐらいの気持ちでも、長年に渡り着続けて頂けます。

肘の内側に入る深い皺、表面が擦れて茶色くなった革。
経年変化が現れてこそ完成する馬革のライダースジャケットを是非、ご堪能下さい。

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